Panel two - curated by ISHIDA Risa

Sa-ya『地面が、空』 石田理佐によるキュレーターコメント ハンナ・ベニソン『Layered Reflections』 石田理佐によるキュレーターコメント

Sa-ya『地面が、空』石田理佐によるキュレーターコメント

地面、水溜まり、空。
水溜まりに映り込んだ美しい景色は、私達に感動とあらゆる想像をさせます。
作者は言いました。
「空は、人間と似ている」と。
彼女にとって、空は人間の感情を表現するために最高の方法なのです。
空は天気や時間、環境によって表情が変化して行きます。
同じ喜びも、怒りも、悲しみも、その時の状況や細かな感情によって変化します。
彼女は空を人間の感情と照らし合わせ、自らの作風として表現しています。

突然ですが、皆様はこの作品からはどのような感情が感じ取れるでしょうか。
透き通った空と白い雲、虹色の光に建物の影。
ここから読み取れるのは、全体を通して明るく、太陽の光が目立つこと。
非常に美しく、透き通った作品です。
絵画のように幻想的ですが、実は写真の作品なのです。

Inversion。
これは、反転や矛盾などの意味を持つ言葉です。
この作品からは、光が示すポジティブさがある反面、その水溜まりは私達にどこか切ない感情を伝えてきます。
大きな水溜まりがあると言うことは、きっと大雨が降った後なのでしょう。
水溜まりに映った雨上がりの空はとても美しい姿を見せています。
また、水溜まりの向こうに映る景色は、まるでこことは違う世界のようにも見えます。
きっと、この空は悲しみを洗い流し、晴れやかな希望を見出した人間の感情そのものなのでしょう。

ハンナ・ベニソン『Layered Reflections』 石田理佐によるキュレーターコメント

深い青と青い空、どこかの風景を想起させる影が鏡に映る。
この鏡に映る景色や水滴は一体なんなのだろう。
作者は言った。
「Inversionという言葉から反射、反転を想像した。そこから写真が鏡に映り重なる作品に発展させた。」と。
この作品には、鏡と多くの写真が用いられている。
彼女は自身の意思を反映させる為、水滴や飛沫、鏡や空を写した写真をつなぎ合わせ、それを鏡に反射させ撮影した。
時には鏡を割ることもあった。
数多くの写真の組み合わせや画角を研究し、最終的にこの作品に辿り着いた。
彼女が数多くの写真からこの一枚を選択した理由は主に二つある。
一つ目は中央部の写真と鏡の反射により生み出されたシンメトリー。
二つ目はその色合いのバランスだ。
彼女は、シンメトリーのバランスと、明るいものから暗いものまである青色のグラデーションとアクセントとして入っている暖色のバランスが決め手になったと説明した。

Inversion。
これは、反転や矛盾などの意味を持つ言葉である。
この作品は、周囲を反射する水滴、それを写した写真、それを反射する鏡からなる。
それらを撮影した作品は、繰り返された反射を一つの形にしたものとなり、題名にもある層、積み、重ねという意味を持ったLayeredへと繋がるのだ。
反射を重ねること。それが、彼女の表現するInversionである。

祓川 彩

出身:東京
大学:女子美術大学
専攻:デザイン専攻 アートプロデュース研究領域

普段の作品では空の写真を撮ることが多い。
Instagram: sa_ya.ab

ハンナ・ベニソン


出身:イギリス、ノースヨークシャー
大学:ラフバラ大学
専攻:アート&デザインファンデーションコース、テキスタイル専門
コース外ではパステルと色鉛筆を用いたリアリズムスタイルの肖像画を描いている
Instagram: @hannah.bennison_art

キュレーター:石田 理佐


出身:神奈川
大学:女子美術大学
専攻: 芸術文化専攻
ゼミ:色彩学、日本美術史
東南アジア美術や遺跡美術の興味がある。