Panel seven - curated by SUGAI Ichika

Risa『moon phase』 菅井一花によるキュレーターコメント
ふと立ち止まり、心の中で夜空を描いてみよう。貴方は空を何色に、月を何色で描くだろう。
野畑りさが描くこの世界に貴方は違和感を覚えるだろう。
空は黄色、月は青色で描かれている。
現実的に描かれた月の質感と、記号的に連続する星の数々。
違和感に目を凝らしてみよう。
なぜこの月は青で描かれたのか。なぜ空は黄色で描かれたのか。なぜ夜空だと思ったのだろう。今まで見てきた夜空とまるで違うじゃないか!
『INVERSION』では、様々な反転をテーマにした作品を展示している。本作品「Moon Phase」は、色彩、モチーフ、構図等全ての要素が本質に迫るための重要な役割を果たしている。この絵をじっくり見ていくと、自分の中の無意識が浮き彫りになっていくのを感じる。反転して考えた先には何が見えてくるのか。まさに本展覧会に相応しい作品であるといえる。
ベッカ・スミス『Convex and Concave』 菅井一花によるキュレーターコメント
一面に広がる、波打つ青。
これらは全て布で構成されています。
柔らかい素材であるからこそ、表面は波打ち、盛り上がっているように、もしくは凹んでいるようにも見えます。ポストカードという平坦な画面の中に、様々な凹凸を感じさせる矛盾。
よく観察してみましょう。
一見同じような凹凸も、やわらかくしなる質感と、力強く折れ曲がる質感といったように様々な表情を見せます。これらは作者が意図的に与えた表現もありますが、自然に発生した現象もあることでしょう。
この作品の特徴的な青色は、そのような質感の違いを浮き彫りにさせるきっかけとなっています。明るい青の部分は特に顕著にその質感の違いを表します。青色の濃淡によって奥にあるように見えたり、手前にあるように見えたり、我々の思考を混乱させます。布という薄く柔軟に形を変えることが出来る素材であるからこそこれらの表現が可能になるということです。
視覚的なインバージョンを感じさせる、本展覧会に相応しい作品です。
Risa
出身:日本
大学:女子美術大学
専攻:短大・美術コース
普段は油絵具を使って制作している。
Instagram:theresmyartwork
ベッカ・スミス
出身:ウェルウィンガーデンシティ
大学:ラフバラ大学
専攻:テキスタイル
普段は陶芸、立体作品、布を使った作品を制作している。
Instagram:beccasmith._
キュレーター:菅井一花
出身:宮城
大学:女子美術大学
ゼミ:芸術人類学 色彩学
印象派の作品に興味がある。