Panel eleven - Selected by Midori OKI

panel 11

沖碧莉による祓川彩の 『大切な場所』についての キュレーターコメント 

薄く雪の積もった地面に、ずらりと並んだパイロン。様々な看板の並ぶ光景は、なんだか物々しい印象を受けます。

この作品は、「Cultivate」のネガティヴな面を表しています。テーマである「Cultivate」という単語には、「耕す」という意味も含まれています。この単語の意味を知った時、「土地を耕す」という意味以外に、「心を耕す」という言葉が頭に浮かんだそうです。一見それはポジティブな様にも聞こえますが、見方を変えれば未だ耕すことの出来ていない場所がある、耕さなければならない場所がある、という意味にもなり得るのではないでしょうか。

この写真の光景は、アーティストにとってとても温かい、思い出のある大切な場所を写しています。ですが、他から見ればそれは冷たく寒い「土地を耕す」ことには向いていない、「心を耕す」ことを最も求めている光景であると感じたそうです。

アートの見方は人によって様々である、というごく当たり前なことが、面白さの根底にあるのだということを考えさせてくれる作品となっています。

沖碧莉によるオリビア・マーティンの 『Cultivate』についてのキュレーターコメント

この作品は「Cultivate」というテーマを、花を用いてとてもシンプルに表しています。見てわかる通り、花の写真と紙のちぎり絵のコラージュで出来ています。この作品は赤い花とさまざまな濃淡の緑の背景で構成されています。

「Cultivate」には主に耕すという意味があり、栽培、育てる、というニュアンスも含まれています。この作品は、栽培することで、広がり成長していくものの象徴として花を採り上げています。花を大胆な色使いで表現し、分かりやすく、かつ「Cultivate」のテーマがわかるようにコラージュされています。

この作品には、写真をコラージュするデジタル技法と、紙をちぎって背景とする手作り作業の両方が採り入れられています。その制作の工程からも、「Cultivate」らしさを感じることが出来ると思います。

祓川 彩(はらいかわ あや)

東京出身 女子美術大学芸術文化専攻所属

普段は人や空の写真作品、ハンドメイド作品を制作。

オリビア・マーティン

イギリス、リーズ出身 ラフバラ大学、アート&デザインファウンデーションコース、ビジュアルコミュニケーション専門所属 普段はコラージュ作品を制作。

キュレーター 沖碧莉

神奈川県出身 女子美術大学芸術文化専攻2年 芸術表象ゼミ、芸術人類学ゼミ所属

ジブリ作品と古い街並みが好き。