Panel five - Selected by Haruka HIRUTA

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蛭田遥加による川村夏美の『心の強さ』についての キュレーターコメント

Cultivateという言葉を聞いて、みなさんはどのようなキーワードを連想するでしょうか。土を耕す様子、土地を豊かにするイメージなどさまざまなキーワードが連想されます。そして全てのキーワードに共通していることは、自分自身の強い力・強い意志によってより良い未来を創造する力強さではないでしょうか。

そんな力強さを感じ取ることができる作品として、川村夏美さんの作品を挙げたいと思います。中心部に描かれた前を真っ直ぐに見つめる人間の横顔からは、自分自身の力で幸福な未来を手に入れるという強い意志が感じ取れます。カラフルで賑やかな背景と、緑を基調にして描かれた横顔のコントラストが、彼または彼女の揺るぎない意志を強調しているようです。

彼女の作品は、夢を実現するために努力している人、困難に立ち向かっている人に大きな力と勇気を与えてくれるのではないでしょうか。

蛭田遥加によるシャーロット・チャーチマンの 『View from Afar』についてのキュレーターコメント 

植物たちは寒く過酷な時期を耐え凌ぎ、暖かな春に芽吹きます。冬の間は暗い土の中で、己と向き合い心を研ぎ澄ませ、人々は土を耕します。

このCharlotteの作品は、フランス南部に位置する都市アンティーブを写しています。この土地は彼女自身が毎年休暇を過ごす土地でありながら、ここ数年、寒さのために行っていない場所だと言います。そんな場所を、彼女はサイアノタイプまたはブループリントと呼ばれる技法を使って表現しています。

1800年代の、非常に初期の写真撮影技法であるサイアノタイプで表現された色褪せた色彩からは、モチーフとされたアンティーブの寒さが感じられます。しかし同時に、この寒さを耐えた先には暖かな春が待っていることも予感させます。また、サイアノタイプという新しい技法に挑戦する姿勢が、寒さに耐えるアンティーブの街に重なり、テーマに深みが生まれています。新たな表現方法を模索する彼女の姿勢と、土を耕す農家の姿勢には、共通する部分があることに気付かされます。

川村夏美

日本出身 女子美術大学短期大学造形形学科美術コース所属

普段は人物画を制作

Instagram: @housedotsbrown

シャーロット・チャーチマン 

ロンドン出身 ラフバラ大学アート&デザインファウンデーションコース所属

普段は、テクスチャーに焦点を当てたより抽象的な作品を制作している。

キュレーター:蛭田遥加

神奈川県出身 女子美術大学芸術文化専攻 2 年 色彩学ゼミ、芸術人類学ゼミ所属

音楽鑑賞が好きで、日本のミュージシャンを普段から好んで聴いている。