Panel two - Selected by Rumi FUKABORI

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深堀瑠美による呉一の『植物工房』についての キュレーターコメント

初めに、今回のポストカード展におけるテーマである「Cultivate」というフレーズについての説明をさせていただく。「成長」「育む」「培う」という言葉が類義語として挙げられるだろう。まとめると、「何かが育つ・何かを育てる」といったところか。それは植物や農耕のみならず、広く「人々の営み」「精神の成長」などを意味する。

この作品は、さまざまな植物等の「育つ」モチーフを画面いっぱいに配置し、全体でテーマを表現している。しかし、中には「植木鉢の中の植物」「山」など、人と共に成長するモチーフも描かれている。これらからは、先ほど述べた「広い意味でのCultivate」と捉えることができるだろう。

また、この「Cultivate」というテーマは、現代日本においてかなり重要視される事柄である。今、日本人アーティストの作品が海外に流出したり、正しく評価されず、鑑賞する人や作品を購入する人も減少傾向にある。現代日本のアート市場に必要なテーマこそ「Cultivate」だと考える。価値観を「培う」、アートに触れ、心を「育む」ことが重要である。

深堀瑠美によるパスカル・ピューの『Geometry』についての キュレーターコメント

この立体作品は見ての通り、白い枠組みの中に色とりどりの針金、あるいは毛糸のようなものが張り巡らされている。

これらの要素から連想ができるのは「骨組み」や「細胞」といった、何らかの事物の「内部構造」、あるいは「何かが構成されていく様子」であると考える。

つまり、この作品における「Cultivate」は「成長、誕生、発展の様子」であると言えるだろう。「成長したモチーフ」「耕作を連想させるモチーフ」などの特定の物体では無く、「Cultivateの様子」を立体作品として表現している事実すらも「Cultivate」と言えるのではないだろうか。

呉一

中国出身 女子美術大学立体アート専攻

普段制作している作品は、針金の編みと形作りによる作品

パスカル・ピュー

シュルーズベリー シュロップシャーイングランド出身、ラフバラ大学アート&デザイン基礎

普段制作している作品は、3Dアート

キュレーター:深堀瑠美

千葉県出身 女子美術大学芸術文化専攻2年 日本美術史ゼミ 芸術表象ゼミ所属

影響を受けたアーティストは、歌川国芳